新鮮

頑張らないために頑張る

「デスマーチが終わった」それはシステムの出来不出来とは全く関係がなかった。

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フィクション小説 ユーザ SE の真実 06 話。全編は こちら

 

デスマーチプロジェクトに巻き込まれ、僕は彼女も生活も失った。数ヶ月におよぶ終電帰り。生きる意味、働く意味を問いかけ続け途方に暮れる毎日。そんななか、なんの前触れもなくデスマーチは終わりを迎える。

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え、なんで?

不具合だらけでも検収する

「残件は申し送りとして検収すること」

ある日の朝、出社したばかりの僕と先輩は課長に呼び出されそう指示を受ける。検収とはシステムを完成とみなしお金を支払うこと。SIer にとっては丸投げプロジェクトの最終工程にあたり、ユーザ SE にとっては始まりを意味する言葉だ。

 

僕は当惑を隠せなかった。

「え、いや、まだたくさん不具合残っているけどいいの?」

だが課長の意思は堅い。一切の反論を許さず「業務指示である」と言う。さすがに上司にそうまで言われたら逆らうことは出来ないので、自席に戻って検収判定会議の日程調整をはじめる。一抹の不安を感じつつも。

 

検収判定会議当日。偉そうなオヤジ連中が会議室に集まった。

名刺交換すると SIer の営業部長や開発部長とのことだ。初めてみた。ふと横を見るとデスマーチで仕様変更対応をしていただいていた SE さんたちも末席に座っている。

そして重々しい雰囲気の中、儀式が始まる。

 

「お客様のご協力により、システム稼働に十分な品質が担保できました」

うそつけ。

「当初のスコープは満足したと考えます」

そんなわけあるか。

「残件については誠意対応いたします」

ほんとだろうな?

 

うんうんと頷く課長の横で、先輩と僕、そして末端の SE さんたちは俯いたままただ黙り続けていた。欺瞞だらけの報告、できもしない約束に言いようのない怒りを覚える。反論を許さない雰囲気のなか儀式は終わりを迎える。

 

「承知した。本件、検収とする」

「ありがとうございます」

 

そうして地獄のデスマーチは終わった。

なぜ不具合だらけでも検収するのだろうか。

あなたは課長が検収した理由が分かるだろうか。

理由は実にシンプルだった。今月の検収を逃すと支払いが半期ズレとなる。それは課長のマネージャとしての資質・評価を著しく毀損する問題であり、その問題に比べればシステムの出来不出来などは些事に過ぎなかったのだ。

 

以前に述べたが課長は情報システムへの想いは一切ない。システムが使われようが使われなかろうが関係ないし、品質が良かろうが悪かろうが興味もない。しょせん腰掛けの部署だ。腰掛けのなかで予算執行を失敗するという汚名だけはなんとしても避けたい。そう、検収の理由は課長のメンツ、人事評価だけだった。

 

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課長のメンツだけ・・・

そしてシステムは無数の不具合を残したままローンチを迎える。

おわり。

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SE職場の真実 どんづまりから見上げた空

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