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EA の功罪(2) 地獄への道は善意で舗装されている

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先日、"EA"(Enterprise Architecture) なるシステム開発方法論を述べた。そして砂上楼閣なプロジェクトが何故か実施にまで進んでしまうまでのお話をした。

今回は「EA 開始後の顛末」である。

 

EA 開始後の顛末

さて絵に描いた餅の EA 計画に Go サインが出るとどうなるだろうか。

まあ大体あなたの想像通りだ。

 

まずコンサルの描いたキレイな資料に従った○○業務の RFP が出るのと同時に、業務部門・システム部門間で「EA 推進会議(仮称)」なる定例会議が設けられる。その会議の冒頭、次のことが伝えられる。

  • いまのシステムを全面一新する
  • いまのあなたの仕事は全然ダメなので全て見直すこと
  • いままであなたが作ったエクセルを全面廃棄すること
  • いままであなたが作った業務マニュアルを全面更新すること
  • ローンチ後、あなたの部署の人員を半分にすること
  • 以上は社長がコミットした事項である

 

花形の自部署が、コストセンターのシステム部門から因縁をつけられたのだ。こいつらを食わせているのは自分たちなのに、一体全体、何をトチ狂っているのか。場の空気は怒り・呆れ・哀れみが支配していき、沈黙のあと「ひとまず持ち帰る」で会議は終わる。

 

そして第二回 EA 推進会議。業務部門から次の要件が出される。

  • 既存の業務フローを一切変えないシステムとすること
  • 新規システムの画面構成は既存システムから一切変えないこと
  • エクセルを破棄するときは、その全てをシステムで実現すること
  • 業務マニュアルの更新はシステム部門が全て行うこと
  • 業務部門の人員削減は一切認めない
  • 別途取りまとめる既存システムへの改修要求一式を漏れなく実施すること

 

・・・。

楽しいデスマーチの始まりだ。

そしてあなたは今日も帰れなくなるのである。

 

何がダメだったのだろう?

果たしてコレは何がダメだったのだろうか?

 

方法論は理想的かつ常識的で、しかも実績のある教科書的な参照文献も準備されていた。コンサルは実に優秀だし吸収できるノウハウも多かった。キーマンが参加できないのはキーマンだからある意味当然だ。

経営層は「儲ける」というミッションに忠実なだけだった。業務部門の部長は会社の為を思ってプロジェクトを推進した。業務部門は荒唐無稽な話に乗らず実利を取った。システム部門は会社方針に従って努力した。開発パートナは不眠不休で仕様変更に対処した。

 

誰も失敗を望んでいない。

すべてが善意である。

そう、地獄への道は善意で舗装されているのである。

 

多少思想じみていて申し訳ないのだが、理想の姿を追いかけて現実がダメになるのは、あたかも社会主義のオマージュだ。部署間や役職間の利害関係の不一致がある以上、理想の通りにはいかないのだ。さらに業務委託先がからむとなおさら不可解なことになる。

 

そんなわけで EA は二度とやりたくはないが、実は良い部分も色々あった。さんざん貶めているような気もするが少しフォローしたいと思う。

長くなったので別エントリでお話しようと思う。

 

おわり

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